世界遺産たる所以
京都市内からバスに揺られること約1時間弱、高雄の新緑の中へ。
高山寺での「世界遺産の新緑を愛でる特別拝観」に参加するためです。
「栂ノ尾」停留所で降り、まずは「NISHIKI TERRACE zap」で腹ごしらえ。
山の緑を眺められるタウンター席や、せせらぎが聞こえてきそうなテラス席、トイレには子供用に踏み台も用意されており、お店の前にも車が何台か置ける駐車場がありました。
高山寺の「石水院」は、明恵上人時代の唯一の遺構として伝わり、国宝に指定されています。
密教と華厳を修めた明恵上人は宗派を開かず釈迦信仰を貫き、宗派や身分を越えて様々な人々と交流していたそうで、北条泰時が制定した 「御成敗式目」は、明恵の思想がもとになっているとのこと。
後鳥羽上皇による勅額「日出先照高山之寺」の通り「高山」と「華厳の聖地」という意味合いがあるそうです。
非公開の茶室「遺香庵」の待合の中央には大きな梵鐘「茶恩鐘」が。
明恵上人700年遠忌にあたる昭和6(1931)年に建てられた茶室で、鐘には住友吉左衛門や堂本印象など全国の財界人を中心とした寄進者の名が刻まれていました。
今すぐにでも茶会が開けそうな茶室は、どっしりとした作りです。
「日本最古之茶園」の石碑が建つ茶園にも初潜入!
栄西禅師が中国から持ち帰ったお茶の種を、明恵上人が栂尾山内で栽培した茶が宇治へと伝えられたのが宇治茶の始まり。現在も宇治茶業組合により維持管理されているので、葉っぱも艶々です。
意外に広く200坪以上はあるとのこと。近年のDNA鑑定により、日本と中国古来のお茶の木が混在していることが分かり、栄西・明恵ゆかりの茶の木が連綿と引き継がれているのではないでしょうか。
最後は、外の新緑を望む書院にて高山寺オリジナルのお抹茶と和菓子を、お土産には当プラン限定のご朱印と鳥獣戯画グッズのお土産を頂きました。
まもなく高山寺では茶摘みが行われ、11月8日には開山堂にて明恵上人への献茶式も行われるそうです。
8点の国宝、1万2千点に及ぶ重要文化財など、高山寺に伝わる史料や文化財はどれも明恵上人ゆかりのものばかりで、文庫では最近ようやく鎌倉時代の調査が進んだところとのこと。
まだまだこれから新たな発見がありそうです!
高山寺が「鳥獣戯画のお寺」である以上に世界遺産としての指定を受けている所以に触れたとともに、近年でも白洲正子や河合隼雄などの文化人からも愛される明恵上人という人物に興味が湧きました。
今月末まで特別公開の日程が公式サイトに掲載されています。
高雄の新緑のもみじと共にお楽しみくださいね。