e-kyoto「一言コラム」

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アートとビジネス

3月20

kiki 2011年の東日本大震災の直後に京都に移住したという現代美術家・村上隆による大規模展覧会『村上隆 もののけ 京都』。
「京都では8年ぶり」「日本での個展はこれが最後かも」「出展作品の9割近くが新作の大作(未完成もあり)」など話題が尽きません。

現職や金箔で華やかな展覧会場の中には、世にも珍しい「言い訳ペインティング」が各所に漫画の吹き出しのように展示されています。
その一つによると、美術館側から多数の新作を「無茶ぶり」され、その資金調達のために「ふるさと納税」制度について勉強したとのこと。

そこで返礼品としてトレーディングカード(トレカ)付き入場券が誕生し、この初の試みの結果、総支援額は3億円を突破、京都市内在住・通学の学生(高校生・大学生)の入場料無料化が実現しました。

日本では、欧米に比べてアートを投資などビジネスの対象として捉える行為をタブー視し、眉をひそめるする人も少なくないでしょう。
とはいえ、我が国においては優れた芸術を生み出す作家であっても、その作品や演奏だけで食べて行くのは難しく、自分の腕を磨くより、お金を回す勉強をした方が、金銭的にはよっぽどリターンがあるのが現状です。

身近にいる芸術家達を見て、いつも思います。
「他の人にはそう真似できないことをやっているのに、もっと報われてもいいのではないか」と。

「フラワー」など、村上ワールドはグッズとしても大量生産できるデザインでありながら、こちらに迫って来るようなエネルギッシュな力強さがあります。

村上作品に初めて出逢う人にとっては、その奇抜さに「なんやこれー」と戸惑うかもしれませんが、「風神雷神ワンダーランド」や「洛中洛外図」「もののけ洛中洛外図」、「 五山くんと古都歳時記」など京都にゆかりのあるそれぞれの作品群は、奇をてらうものでもなく、過去の名作の模倣でもなく、みやこに育まれた系譜への敬意を村上流に表現したものであると感じられるのではないでしょうか。

この展覧会は「観て終わり」ではありません。
4月1日からはαステーション(FM京都)にて村上隆氏がレギュラーDJ を務めるラジオプログラム『MONONOKE RADIO』が始まるそうですよ(「radiko」で聴くのもおすすめ)。

2024年3月20日 | イベント, 芸能・アート

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