歩みを止めない理由
2月1
今年もお茶の初釜に参会することができました。
ここ数年、密室の空気が澱むのを良しとしない情勢なので、さらさらと柔らかく溶いた濃茶は恒例の回し飲みはせず個別に点てられるなど、風情を損ねることなく場が効率良く流れていくよう創意工夫がなされていました。
茶道は「総合芸術」とよく言われます。
和服に袖を通し、手入れされた露地を進み、様々な調度品にしつらえられた中で、茶器に触れて、その場の仲間と共に抹茶を頂きます。
その環境や工程の中に、どれだけの職人さんや若手作家の手仕事が盛り込まれているか、想像してみてください。
疫病下でも師匠がお茶をやめないのは、そのような日本の文化を下支えする人々の仕事を凍結させないためでもあると、個人的に解釈しています。
毎年の同じ場所で仲間と時間を共に過ごすことは、飛花落葉の中で自分自身はどの様であったか、振り返る機会でもあります。
仕事でも日常でもない時間。
程よい緊張感の心地よさが味わえる時間を持ってみませんか。