洞窟の中のお不動さん
6月5
開山300年を迎えた狸谷山不動院では、11月まで本尊の石像不動明王像を間近で参拝できる特別拝観が行われています。
本堂に入るやいなやお不動さんと目が合い、その距離を感じさせないくらいの真っ白な眼球になんとなく目を反らせられないまま近づき内陣に足を踏み入れると、冷やっと自分の周りにある空気が変わりました。
よく見ると、途中から岩肌になっています。本堂の通常の参拝位置から観ただけではどこに洞窟があるのか気づきませんでしたが、いつの間にか洞窟の一角に居たのでした。
正直なところ、胎内巡りのような真っ暗な洞窟の中を恐る恐る進むスリリングなものを勝手に想像していたのですが、内陣の中は数歩で出られるくらいの大きさで、あっけなく参拝を終えたのでした。
現代人だからこそ簡単に済ませられるものですが、それでもここまでに駅から15分程坂道を歩き、250段の階段を登る必要があります。
「健脚コース?いやいや、これも“行”か!」と雑念ばかりを背負って登って来てしまっていたわけですが、少なくとも1944年に亮栄和上が入山するまで殆ど人の手が入ってなかった約230年間は冷たい洞窟と洛中を繋ぐ険しい山道の往復は、厳しい道のりだった事でしょう。
「がん封じ」で知られる「祈り」の霊山のため、境内の柱には、描かれた身体に自分の悪いところを記して納める木札がびっしり。中には外国語の表記も見られます。
なんと、16日にはプロジェクションマッピング、17日には夜の特別拝観も行われるそうです。