e-kyoto「一言コラム」

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高級品の必要性

9月26

saka 涼を取ったり、芸事で使われるだけでなく、「末広がり」な縁起物として、古くから国内外の人々から愛されてきた扇子。
憧れの坂田文助商店の扇子は、鞄から頻繁に出し入れしたりする度に壊したり汚したりしてしまうガサツな自分が日常使いにするには、正直高根の花でした。
それが最近、奮発してお礼を兼ねた縁起物を贈りたい相手がいたので、これはチャンスとばかり、お店の重い扉を開ける事になりました。

ここの特徴とも言えるフランスリネンを巻いたスティック(親骨)は、上品な色遣いと風合いが貴婦人のよう。完全手作業で仕上げられ、選べる組紐のタッセル(房)も一色ではなく、微妙な色の束から成っています。
漆黒のレザーを巻いた扇子からは、高級ブランドを着こなす男性を連想させるように、なぜか和装よりも洋装の持ち手を思い起こすのです。
お店のオリジナルの、芯を入れた紐で編まれた扇子立ても、ゆるやかにたわんで優雅です。
かつては店の表に掛けられていたという漢詩の彫られた古木の看板を眺めている間に、丁寧に包んで頂きました。
ああ、これが自分の扇だったら。いえ、いつかは自分もオーダーメイドをしてみよう。

それにしても、京都にはたくさんの扇子の老舗があるんですね。
手頃に愛用できる商品が手に入るお店も大切だけれども、ここぞという場面のための高級品を扱うお店も、やはり必要なのだと実感しました。

2016年9月26日 | お店, 和雑貨

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