京の老舗宝飾店
10月5
ここ最近、身の回りでお祝いごとが多いので、冠婚葬祭用に真珠の指輪を買う事になりました。
そこで知人に紹介してもらったのが、江戸の文化文政期から京都で暖簾を掛けている「奈良甚」というお店。
和菓子や漬物の老舗はよく聞きますが、「京都の宝飾店の老舗」とは珍しいと思いませんか?
「奈良」は創業者の出身地が由来で、江戸の頃には珊瑚やべっ甲などを扱っていたそうです。かつては六角富小路東入ルに本店を構え、和風のショーウインドウのある木造建築の写真が掲載された昔の雑誌を見せて下さいました。その雑誌に紹介されている他のべっ甲屋さんなどは、時の流れの中でもう廃業してしまっているようです。
この本店も戦争の疎開で取り壊されてしまい、職人さんも各地へ旅立ち、現在では跡形も無く駐輪場となってしまっているのが非常に残念ですが、今も近くのビルの二階で営業されているのは代々店主の命が繋がってこそ。
小さな店内で「いつまでやるか分からへんけど…」と呟くご当代の事務机の隣に据えられた和箪笥と、奥からワンちゃんの元気な鳴き声が聞こえてくる暖簾は、往時の名残なのでしょうか。
この指輪を機に、今でも京都で細々と商う老舗の存在に触れられたのが嬉しく思いました。