e-kyoto「一言コラム」

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宵山能

7月29

benkei 能楽堂嘉祥閣で初めて「宵山能」が開かれ、開場前から長蛇の列を成していました。
祇園祭の山鉾には能を題材としたものが多く、その一つとして記念すべき初回に選ばれたのは、後祭の山鉾巡行で先頭を歩く橋弁慶山の「橋弁慶」です。
「半能」と言う事で、話のクライマックスの部分のみを能で演じ、それまでのあらすじは能楽師・井上裕久さんが鍛え抜かれた声で面白おかしく軽快に解説をして下さいました。
独特の声調記号の付いた謡本を見ながら、子供からお年寄りまで、観客が一緒になって謡ってみるのも初めての体験でした。
「橋弁慶」では、大人が弁慶を、子供が牛若丸の役を演じます。橋掛かリを五条大橋に見立てて対峙する双方それぞれが凛々しく、優雅で美しい立ち回りでした。
大筋は同じですが、文部省唱歌として唄われる「牛若丸」では、悪さをするのが弁慶で、謡曲では牛若丸と逆になっているのが不思議です。
今では小学校でも「牛若丸」を歌わなくなってきているそうですが、「桃太郎」と聞けば鬼退治を、「ロミオとジュリエット」と聞けばバルコニーの場面を思い出す様に、一昔前の人々にとって祇園祭の山鉾は、誰もが知っているお決まりの場面を表現したものであり、能もまた、もっと人々の生活に溶け込んだ身近な存在であったのでしょう。
終演後は、その足で後祭宵山の橋弁慶山を観に行きました。
来年度の「宵山能」のテーマは、能でよく謡われる石清水八幡宮に関連した「八幡山」だそうです。

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