「地図で読む 京都・岡崎年代史」
コンビニエンスストアと言えば、全国どこの地域の店でも同じ品が手に入りますが、中にはご当地商品スペースを設けている店舗もありますね。
例えば、平安神宮の近くのあるコンビニで購入した『地図で読む 京都・岡崎年代史』。
明治28年に岡崎一帯で行われた「第4回内国勧業博覧会」の華やかなりし会場全景図を表紙にしたその冊子には、明治の東京遷都で賑わいを無くし農村地帯へと変貌していく愛宕郡岡崎村、京都復活の起爆剤となった琵琶湖疎水とその周辺を写した今昔の写真、市電が通り、京都市の祝祭の会場としての姿、進駐軍に施設を接収された戦後、時代を遡って白川や吉田山などに恵まれた古墳時代の岡崎遺跡、平安後期に六勝寺が林立し栄華を誇った「院の御所」時代、地震や応仁の乱を経て秀吉の時代には洛外と見なされた沈黙の時代、諸藩邸が続々と建てられた幕末の激動の舞台として、その風光明媚で交通の要衝としての立地の良さから時代と共に需要と変容、伝統と創造を重ねてきた岡崎の姿が、地図や年表の対比を交えて分かりやすく紹介されています。
東寺の五重塔も超える高さの法勝寺八角九重塔が現在の京都市動物園の観覧車の辺りにそびえていたことや、かつて岡崎一帯に存在していた遊園地「京都パラダイス」にスケート場に夷川船溜の遊泳場の話題など、わくわくするような、人によっては懐かしさを覚えて古地図に夢中になることと思います。
現在平安神宮を中心に、美術館や図書館、能楽堂など文化ゾーンとしての役割を果たしている岡崎。この先100年、200年後は一体どんな姿になっているでしょうか。