京都市学校歴史博物館
明治2(1869)年に、江戸時代の自治組織である町組を基礎として、京都に日本で最初の小学校(番組小学校)が64校創られました。その京都市の学校の歩みを紹介するのが「京都市学校歴史博物館」。
校舎に足を踏み入れると、図工の時間に触っていた粘土の様な、懐かしい「学校の匂い」がしました。
きしむ廊下や日差しが落ちる階段のタイルの感触を味わいながら、現在開催中の企画「小学校の戦前・戦中・戦後展」を観て回ります。
子供の素朴な目線で綴られた日々の作文、玉音放送があった昭和20(1945)年8月15日付けの寮母日誌、入学式から先生も生徒も半分以下に減ってしまった卒業式の集合写真。
戦地へ赴く「塩見先生 応召送別記念写真」の、子供達の無邪気な笑顔には、思わず足が止まりました。隣には、戦勝を昂った調子でしたためた「塩見先生」の手紙も展示してあります。
こんなに眩しい笑顔に溢れているのに、見ている私達は必ずしも晴れ晴れした気持ちにはなれません。
この企画展のチラシを見返すと、まさにこの集合写真でした。この展示を企画した人々も、きっと同じ様に、時代を映す教育の影響力を思い知らされたのでしょう。
「塩見先生」のその後を案じていたら、他の展示室での卒業文集に、この先生への好意やお礼を書いた作文が掲載されていました。ご無事に帰還されたのでしょうか。
もちろん、戦争の展示ばかりではありません。オルガンが童謡を奏でる常設コーナーでは、歴代給食のサンプルも並んでいます。
ノート代わりに白墨(チョーク)と共に使用されていた石板は、現在の教育の場に導入されつつあるタブレット端末にも似ているような。
当館では、6月1日(日)には関連講演会、17日(火)にはここの館長であり日本画家である上村淳之さんの館長談話室のほか、唱歌・童謡教室も予定されています。