e-kyoto「一言コラム」

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「文化の発信装置」としての百貨店

3月3

taka 普段、色々な百貨店を利用するなかで、高島屋に対して個人的に持っている印象と言えば、“高級感”や“美術に力を入れている”、“客の年齢層が高め”でしょうか。
1831(天保2)年、烏丸通松原上ルに古着・木綿商「高島屋」を開いてから約180年。「暮らしと美術と高島屋」展が、創業地の京都で開催されています。
明治期の高島屋を再現したミニチュアから、京都と百貨店、そして日本の歴史を併記した巨大年表に始まり、レトロな広告や美術品、史料の中でも、吉野の桜やベニスの月、ロッキー山脈の雪を描いた「世界三景 雪月花」ビロード友禅の原画は圧巻でした。
竹内栖鳳や池田遥邨、富岡鉄斎など、誰もが知る作家の名が次々と登場しますが、これは意識して収集されたのではなく、創業以来の歴史の間に自然に集まったものなのだそう。
オリンピックに出場した選手が多くの人々や企業に支えられていたように、美術工芸の分野においても、日本の企業と文化が共に育ちながら、万国博覧会を通して世界に受け入れられていった経緯が読み取れます。
今でこそ百貨店にレストラン街や美術館に画廊、催事空間を設けているのは当たり前となりましたが、身の回りの人が、「特に買い物の予定は無いんだけど、ちょっと高島屋に寄って行こうかな…」と呟きながら、入口へと吸い込まれていくのを今でもよく見かけます。
客の需要に応え、またある時は時代に先駆けて新たな価値観を提案する「文化の発信装置」としての百貨店は、これからも姿を変えながら進化をし続けていくのでしょうね。

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