e-kyoto「一言コラム」

ガイドブックには載っていない、スキマ情報をご紹介していきます。

鳥居形の送り火

8月20

torii

今年の送り火は、鳥居形を初めて観に行ってきました。
渡月橋畔は点火時間の1時間以上前からたくさんの人々が集まり、大堰川沿いを縁取っていきました。灯籠流しの傍らで納められた水塔婆は、読経の後に翌年の釈迦堂お松明式で焼却供養されるそうです。

ふと鳥居形を近くで観たくなり、既に遠くで灯っている種火を頼りに、できるだけ近いところまで歩いて行ってみる事にしました。
天龍寺を越えた辺りで歩行者がぐっと減り、清凉寺を過ぎて住宅地へ入る頃にはすっかり人気も無く、薄暗い夜道が続きます。
迷いながら30分近く歩き、鳥居形のふもとまで迫る事ができましたが、高度が低い鳥居形は周囲の木々や住宅で見えなくなってしまい、山の入口は真っ暗。懐中電灯を持っていても心細くなりそうな…。
なにより、これより先の神域に踏み入るのも気が引けるので、来た道を少し戻り地元の人々と共に点火を待ちました。
合図の太鼓が鳴り、保存会の人々が松明を手に所定の位置まで走る姿がかすかに見えます。
一つ、また一つと火の玉が一列に並んでいく様子を見ていると、たくさんの魂が空に向かってゆっくりと昇天していくかのようでした。

2012年8月20日 | 未分類

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