e-kyoto「一言コラム」

ガイドブックには載っていない、スキマ情報をご紹介していきます。

2020年の祇園祭は

7月22

sakaki
今年の祇園祭は山鉾巡行と神輿の渡御が無い代わりに、巡行と神幸祭の日にあたる17日には前祭の23の山鉾保存会代表者らが八坂神社から四条通寺町東入ルの御旅所まで徒歩で巡行されました。
例年は還幸祭の24日まで御旅所に3基の神輿が鎮座しますが、代えて榊を設置して神様の依り代としています。
「令和2年祇園祭 御神霊渡御祭」として、氏子地域25学区を神霊を移した榊やご神宝と共に、悪霊退散を祈願する行列が八日間にわたって斎行されています。
人が密集するのを避けなければならないため、詳しい順路は公開されていませんが、今年ならではの祇園御霊会の姿を見かけたら、ぜひとも手を合わせたいところです。

どこの山鉾町も、「疫病退散の祭りだからこそ、ぎりぎりまで山鉾を建てる準備をしておこう」「疫病退散の祭りだからこそ、決して感染者を出してはいけない」との葛藤があったようです。
完全に町会所を閉じているところもあれば、町内の路肩に献灯だけ掲げているところ、粽や限られた品のみ授与されているところ、普段は触れる事のできない山鉾の一部のみ観覧できるようにしているところ等様々です。
おそらく懸装品の虫干しも必要でしょうから、会所内で飾り付けをして「居祭」はしても、外からはほぼ見えないようにしているのかもしれません。

人通りも通常の公共道路並みで静かな鉾町を、祭を惜しむ気持ちで漂う人もぽつり、ぽつり。
会所の2階から、ご神体や鉾飾りの一部を見せているところもあり、それらを観た友人達は「嬉しかった」と話していました。

2020年7月22日 | 未分類 | No Comments »

山鉾が巡行する理由

7月14

aya

例年なら今頃祇園祭の山鉾が建ち始め、各鉾町の会所から二階囃子が流れて来る頃なのですが、今年はそれらがありません。
「今年は祇園祭が中止で残念ね」という言葉を耳にしますが、神事は内容を縮小・変更して斎行されるので、中止ではありません。

祭神を乗せた神輿の行事は八坂神社が、煌びやかな山鉾の行事は町衆で作る山鉾連合会という全く異なる団体が担っています。
神輿は八坂神社を支える氏子地域を巡る一方、山鉾は鉾町を巡行するため鴨川より東へは進みません。

これまで、山鉾が巡行するのは、神輿が通る道を清めるためだと思っていました。おさらいしてみましょう。
神輿の「先触れ」として山鉾が巡行する目的は、美しい鉾頭と趣向を凝らした風流(歌と踊り)に惹かれて降りて来た疫神たちを集めるため。
これらと共に神輿が御旅所へと運び、神事によって鎮めた後に鴨川に流して「浪速の海」(大阪湾)で無力化してしまうのが狙いなのだそうです。

平安京での御霊会の起源については諸説ありますが、貞観 5 年(863)の春に疫病が流行して多くの命が失われ、5 月には神泉苑にて朝廷主催の御霊会が行われ、貞観 11年(869 年)には東北を大地震と大津波が襲ったといいます。
当時の都人も家に籠る事で疫病にかからないようにしていたのだとか。
驚くほど今の私達と重なる状況。今年は本来の祭の意味を振り返る夏になりそうです。
また、今年の7月17日から24日の間、四条通寺町の御旅所には、神輿に代えて榊が設置され、神様の依り代とされるそうです。
また、毎年山鉾巡行をライブ中継していたKBS京都では、同じ時間帯に巡行解説でお馴染み、民俗学者・八木透先生が登場する特別番組を放映するそうですよ。→過去の祇園祭動画はこちら

2020年7月14日 | 歴史, 神社 | No Comments »

「動く美術館」たる所以 

7月8

gion

今年の祇園祭は山鉾の建つ姿が見られないので、代わりに京都文化博物館での特別展『祇園祭 -京都の夏を彩る祭礼-』展に行く事にしました。

入館してすぐ手を消毒し、モニターで自分の体温をチェックして、ビニール幕越しに入場券を購入。
会場前では名前と連絡先を記入した紙や自分の手でもぎった半券を手渡しではなく専用箱に投入。

いつもなら人混みを気にしながら落ち着かない気分で観ていた懸装品の数々や、空を仰いで遥か高いところにある鉾頭、船鉾のご神体・神功皇后の神面、各鉾町によって意匠の異なる籤の小箱など、普段は間近に観る事のできないものが目の前に。
金具の一つ一つ、屋根裏に至るまで、精巧な彫刻、名立たる絵師による下絵と本作、目の詰まった重厚な刺繍、舶来品を購入した事を記録した古文書などに、
「これは鉾町のパトロンだった糸へん業の旦那さん達が競い合うわけやわ」「そら修復にお金かかるわ…」といちいち圧倒されていました。
西脇友一氏による緻密な『祇園祭山鉾絵図』の原画の小ささには驚き。昭和60年完成という古さを感じさせないデザイン性も負けてはいません。

平日の空いた会場の中で、目の不自由な人がお連れさんと静かに語らいながら鑑賞されていました。
今年は祭の熱気や鉦の涼やかな音色を直接体感する事は叶わないけれども、何か肌で感じるものを求めていらっしゃったのでしょうか。

最初はまだ慣れない様式に戸惑いながらの会場入りでしたが、いつの間にか自分がマスクを付けていた事も忘れていました。
願わくば会場に祇園囃子を流してもらえたら…なんて思ってしまいましたが、駄目かな…!?

島原のオンラインお座敷

7月1

mai 日本最古の公許花街である島原。その如月太夫さんによる輪違屋でのお座敷模様がオンラインで中継されました。
太夫道中、かしの式、お茶のお点前、胡弓の演奏に、太夫にしか許されていない舞など…2500円という視聴料で、自宅に居ながらにして観られるとは信じられないひと時でした。
京都の住民ならではのミニツアーが人気の「まいまい京都」による前代未聞の企画です。
もとより信頼関係が築かれていたからこそ実現されたのでしょう。

帯を「心」の文字の形に結んで進む太夫道中は、嵐山の三船祭常照寺でも間近で拝見した事はありましたが多くの人に囲まれていたため、オンラインでは内八文字を描く高下駄の音まで静寂の中で聞き取る事ができました。
優れた教養を持つ最高位の遊女である太夫と客との、いわゆるお見合いの場でる「かし(仮視)の式」にて太夫が盃を鏡のように持ち上げると、自宅でTシャツ姿だった自分も思わず背筋を伸ばし、姿勢を正したくなるのでした。
実際のお座敷なら、きっと粗相が無いようにと緊張して沈黙していたかもしれませんが、チャット機能での参加者の反応がリアルタイムで流れるのもまた面白い。
かわいらしい禿ちゃんが運んできたお菓子を「美味しいです。」とコメントする人多々あり。

後半の質問タイムでは、如月太夫さんや輪違屋のご当主の声も初めて聞く事ができ、二人のウィットのきいたやり取りは、流石おもてなしのプロです。
参加者が次々と「夢のような時間」と書き込んでいた2時間は、あっという間に流れていきました。

なお好評により、見逃してしまった人には、2020年7月4日(土)まで「見逃し配信」で観る事ができます。

初めての町家暮らし

6月22

machiya またまた縁あって、今度は北大路にある借家にも滞在していました。
今年の春先から初夏にかけての1か月間、家族で初めての京町家暮らしです。

台所はIHコンロ、寝室はベッドといった、現代人の暮らしに合わせてリノベーションされた町家だったのですが、玄関から入ってすぐの土間だったであろう場所にタイルを敷いたダイニングスペースだったので、食事や走り庭の台所での炊事は靴やつっかけを履き、プライベートな部屋に入る時はそれらを脱ぎます。
動線を考慮した現代向きの造りでは無いので、一日に何度も家の中でつっかけを脱いだり履いたりする必要があります。
昼でも薄暗く、門前の部屋と壺庭に面した窓を開放しておくと風が流れてひんやりと気持ちがいいのですが、底冷えの京の冬ではエアコンだけだと肌寒くなるかもしれません。
台所のシンクの横、おそらく昔なら井戸を置いたと思われる場所に冷蔵庫や洗面台があるので、お風呂を一歩出ると洗面所は無く、脱衣の際には後付けのアコーディオンカーテンで目隠しをします。
階段もとても急勾配で、そんな「ちょっとずつ不便」なところに、妙に町家らしさを感じたりもしました。

駅の方へ歩けば北大路ビブレ(滞在中は1階のみの営業でしたが)や北大路商店街に鴨川、反対側に歩けば新町商店街や児童公園があり、なんでもコンパクトに揃ってとても便利な立地。
2階の床の間のある座敷は余り使う事が無かったのですが、週末の外食の代わりに仕出しを頼んでみたりと、普段通りの生活を送りながらも非日常感を味わえる不思議な感覚。
京都観光リピーターの中で、ホテルでも旅館ウィークリーマンションを選ぶ人達の気持ちが少し分かるような、貴重な体験でした。

2020年6月22日 | 町家 | No Comments »

うどん、寿司、フレンチの「三密」

6月17

asahi
以前より外に出る事に対する罪悪感が少し和らいだと思ったら、雨が窓を濡らす季節の到来。
時々は窓を開けて湿気でこもった空気を入れ換えながら、しばらく雨音に耳を傾けるのは悪くありません。

子供達が大好きな唐揚げやエビフライの弁当も、ちょっと飽きた。大人用のお弁当はフレンチにしてみるのもいいかも。
「へぇ、たまにはいいね!なんてお店なん?」
「えーと、千本丸太町の『阿さひ』」。
フレンチのお店とは思えない店名です。正式には「阿さひ et Rive gauche (あさひ エ リヴ・ゴォシュ)」。
昼間はうどんと寿司のお店として営業されているそうで、
狙っているのか外装に無頓着なのか、お弁当が入っていたビニール袋もお寿司屋さん柄で笑いを誘います。

パテの乗ったスライスバゲットやテリーヌなど手の込んだおかずがこれでもかというくらい、ぎゅっと詰まっているので、
男性には小ぶりかと思う折詰でも十分にお腹いっぱい。
ぜひワインに合わせて、大人だけの家飲み時間を。

2020年6月17日 | お店, グルメ | No Comments »

瑞穂の国のシリアル

6月10

pon
抹茶ポン」なるお菓子を頂きました。
「へえ~お赤飯以外にもこんな商品作ったはるんや」と、赤飯とお餅で有名な「鳴海餅」と混同してしまいましたが、正しくは西院にある大正12年創業の「鳴海屋」の商品でした。
よくある棒状のポン菓子ではなく、一粒ずつのパラパラタイプ。
「スプーンで食べるんやろか。大粒やけど、何かにふりかける?」と裏の表示を見ると、「おすすめの召し上がり方」として、「ミルクをかけてシリアル風にお召し上がりください」とのこと。
これは美味しそう!
翌朝、トーストを乗せる平皿の代わりに、シリアル用のやや深めのボウルをサーブ。やっぱり白い器の方が色合いが優しく映えます。
シリアルは、食べる直前に牛乳を注いで、サクサクの粒感と香り、牛乳に溺れてふやけたやわらかい食感を同時に楽しむのが身の上。
100%国産のうるち米の香ばしさ、甘いけどしつこくない砂糖蜜、宇治産の抹茶に食塩という原材料のシンプルさ。
舌で粒の塊を押し潰すと、全てが溶け合った抹茶ミルクがじゅわっと溢れてジューシー。
他にも、「黒糖ポン」や「しょうがあられ」、「ものすごく辛い七味サラダ(おかき)」等もあるそうで、京都のええもんを取り扱うお店が一丸となった復興プロジェクト”SAVE THE KYOTO”にも参加しているようです。
ワンパターンだった朝の食卓風景がちょっと華やぎました。

2020年6月10日 | お店, グルメ | No Comments »

京都に鴨川があって良かった。

6月2

saryo
自粛が段階的に明けつつあるとのニュースを聞くだけで、ずいぶん気持ちも軽く明るくなりますね。
重い課題が解決された訳ではありませんが、いつ終わるか分からなかった暗いトンネルの先に一筋の光が見えただけでも希望としたいところです。

久しぶりに賀茂川に出てみて川辺に腰掛け、夕方の涼しい風にあたりました。
もしも「京都らしい景色」を尋ねられたら、きっと迷わず「鴨川(賀茂川)」と答えます。
賀茂川があるおかげで街中でも広い空と、こんもりと茂る緑に触れられるから。
家族と外を歩けるという何でも無いことが本当に幸せだと、周りの人も実感していたに違いありません。

まだまだしばらくはテイクアウト生活を続けます。
普段は敷居の高いお店でも、お求めやすい価格でお試しできるのがお弁当の魅力。
お弁当というと、揚げ物と濃い味付けが主流ですが、下鴨茶寮「おうち料亭」は塩分控えめ、あっさりした味付けを求める方向けです。
天婦羅おむすび等が入った「和牛すき焼きと贅沢おにぎり」は、1,800円(税抜)。
これにお吸い物も追加してもらって、温もりをプラス。

配達が可能なエリアもあるので(有料)、元気を出して欲しい人への差し入れにもいかがでしょうか。

2020年6月02日 | お店, グルメ | No Comments »

「空気をまとう」京和晒綿紗

5月26

sarasa 外出する日数が少なかったせいか、初夏を飛び越えて既に夏に入ってしまったかのような気候です。
エアコンをつける程でもないけれど、室内だとちょっと蒸し暑いときも。
巣ごもり生活の長い夜を快適にすごすため、寝具を旅館風に変身させるのも楽しいですね。

老舗寝具メーカー・大東寝具工業「ねむりの蔵」による「京和晒綿紗」は、国内わずか数台という稀少な和晒窯で4日間かけて繊維の奥にある不純物まで取り除いたあと、天然水で洗い流すなど全ての工程を国内工場で行い、柔軟剤を使わなくても洗うほどにふわふわの手触り。
一般の多重ガーゼ生地とは異なる独特の物作りの詳細は、ぜひ公式サイトをご一読ください。
ガーゼの寝具は、夏の寝汗を吸い取って放出させるので手触りもさらさら。
一日の終わりは肌もノーストレスにして、全体重を布団の中に委ねる幸せの時間に。

これから過酷な夏を迎える赤ちゃんを優しく包むギフトセットもあります。
綿のタオルより更に軽くて風を通すので、お風呂上がりも気持ちよさそうですよ。

2020年5月26日 | お店, 和雑貨 | No Comments »

仕出しは「日常の中の非日常」。

5月18

akoya
今年の母の日は、「阿古や」(075-441-3988)の仕出しを頼んで、家に両親を招待しました。

時間通りに運ばれて来た木箱には、塗りの弁当箱のほか、人数分のお椀と椀種。それにおつゆの入ったアルミのポットが付いています。
「写真を撮って、自分のブログに紹介させてもらってもいいですか?」と尋ねると、
「ああ~どうぞ。うちはネットでも余り情報が出てこないので…。」

お弁当や飲み物をセッティングしたら、コンロで温めた吸い地を、種を入れた椀に張ります。
湯気と木の芽の香りが台所に広がり、高揚した気分とともに食卓に運びます。
皆で揃って蓋を開けた時の鮮やかさ。
赤くて艶のあるもの、瑞々しい緑。素材の良さだけでなく、それらを活かすための丁寧な手作業が加えられているから。
お弁当におすましも付いて、これで3000円とはお値打ちではないでしょうか。

自宅あるいは宿泊先なら、子連れでも互いに気が楽です。
泊まりがけなら、帰りも気にせずごろんと横になってくつろいでもらうのもいいでしょう。

容器類は翌日取りに来られるので、再び木箱に納めて返却します。
「昨日はいい写真撮れましたか?」

仕出しは「日常の中の非日常」。来月の父の日の演出への、一案です。

2020年5月18日 | お店, グルメ | No Comments »
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