e-kyoto「一言コラム」

ガイドブックには載っていない、スキマ情報をご紹介していきます。

人形はお守り

4月26

musha
我が家に五月人形がやってきたので、お雛様と交代で飾っています。
やんちゃな盛りの怪獣たちの手の届かない玄関に飾れるケース入り。
鯉のぼりは、今後のお空と相談して挙げる予定です。

お雛様と同様に、武者人形や兜には、その子の身代わりとして災厄を引き受けたり、護ったりする役目があるので、子供が幾つになっても飾って良いものなのだそうです。
数年前に、不注意による事故で子供を救急搬送したことがあり、その際に家に飾ってあった小さな京陶人形の童大将の人形を「人形(ひとがた)」のつもりで、思わず手に持って同行しました。
そんな経緯で人形の顔や身体には擦れた跡が付いてしまいましたが、今も元気におもちゃで遊んでいる我が子のそばで、毎年その小さな大将を手に、気持ちを新たにしています。

今年のまだお雛様を飾っている期間中、妬きもちなのか、息子が「ぼくのお人形も出して」とせがんだので、「もう少ししたら飾ってあげるから、今だけね。」と箱から出して持たせてあげました。
ふっくらとした小さな両手にそっと載せて、嬉しそうな顔。子供にも何か伝わるものがあるのかもしれません。

武者飾りは飲食店でも飾られていることが多く、5月から本格シーズンを迎える川床のあるお店で見かけることもしばしば。
破魔弓や刀飾り等一般家庭ではなかなかできないような、立派なお飾りを垣間見る事ができそうですね。

ご馳走系パフェでエネルギーチャージ

4月5

tukuru   京都御苑でのお花見の前に立ち寄ったのが、「お菓子 つくる」。
店内は6席のみなので、グループのお客は揃ってからでないと並ぶ事はできません。なので、「おやつ」と言われるランチタイムの営業の1時間前から人が並び始めていました(テイクアウト利用の場合は入店できます)。
今回のお目当ては「イートンメスな苺パフェ」。
「イートンメス」とは、メレンゲにホイップクリームや果物を混ぜて作ったイングランドの伝統的なデザートのこと。

目の前でパフェが作られていく様を見られる割烹スタイルで、スタイリッシュぴかぴかにで手入れの行き届いたキッチンやカトラリーも見どころです。
先立って、「デザートの前のデザート」と飲み物(2種選べます)が出されました。
吉野屑で作られた豆腐やピンクレディという名のりんごと金柑の上に、大原キャベツが春らしい若々しい緑を添えています。

公式インスタグラムにパフェの手描きの図解が紹介されていたのですが、
てっぺんのイートンメスの下には、多重な層の合間も彩る大きな粒の苺(やよい姫)、香ばしくて歯ざわりの良いメレンゲ、カモミールのクリーム、散らした可愛らしいハコベの葉(春の七草の一つ)、アニス 東方美人のシロップ、噛むと洋酒がじゅわっと染み出すサヴァラン、東方美人のゼリー、カルダモンとカキドオシのおもち、生口島レモンアイス、最後に練乳ミルク。
一つのパフェが完成されるのにどれだけの労力と試作がかけられているのか想像できますね。

重なる色彩とボリューム感、交互に現れる食感の違いを楽しめるのがパフェの魅力。
クリームはノンシュガーか、もしくは上質な砂糖で甘さをだいぶ抑えてあるようで、色んな食材が入っていてお腹が満たされても重くありません。
壮年の男性がドリンクを飲みながらパフェの完成を気長に待つのも頷けます。
パフェと共に人気のフレンチトーストを注文したおひとり様女性もいましたが、いつの間にか両方のお皿をきれいにして先にお店を後にしていました。

もともとパフェは大好物で、これまで生クリームのたくさん入った甘くて背徳感たっぷりのパフェを疲れた時のご褒美にしていましたが、今回のご馳走系パフェは、自分へのエネルギーチャージになりました。

2022年4月05日 | お店, グルメ | No Comments »

日本を元気にする招き猫パワー

2月23

neko
2022年2月22日は「スーパー猫の日」という言葉がにわかに流れてきて、ふと思い立って八瀬にある「猫猫寺(にゃんにゃんじ)開運ミュージアム」に行ってみました。
八瀬比叡山口駅から川に沿って15分程歩きますが、着いてみると駐車場が広い!
中に入ると、これまでの静かな道のりからは想像つかないほど、猫グッズを求めて列を成す人々の熱気が境内(?)にありました。

猫がたくさんいる猫カフェみたいなところかと思い込んでいましたが、現在はカフェとしての営業はされていません(ドリンクのマシーンは有り)。
袈裟風のよだれ掛けを身に付けたもふもふの猫住職見習いのマヨちゃん以上に、猫グッズと猫作家・加悦雅乃さんの作品がどこに目をやっても入ってくるのでした。
幼少の頃より絵画にのめり込み、11歳から猫を描く作家として活動を始め、11年間で16点の作品が国内外で入選・受賞されている雅乃さんの22歳記念を兼ねて個展が開かれています。
5月までの期間中は、普段は特別拝観の人しか入れない地下の「22GBar」に無料で入場できるのですが、洋風アンティークな空間で上階とは別世界でした。
作風は、あふれるままにキャンバスに塗り込んでいくような、素直な発想のものばかり。京都の名所と猫を描いたポストカードもありました。

複数のテレビ番組から取材を受けているらしく、お寺の前にはたくさんの器材が。
招喜猫(まねきねこ)宗総本山に祀られる大日猫来(にゃらい)を前にオリジナルのおみくじを引く人や御朱印を求める人まで。
恐るべし猫好き人の購買力。社会福祉施設の利用者の作品の販売や就労支援等も行われているようです。
日本の経済はにゃんこが回す!!

すぐき漬け活用法

12月16

cava 車でせせらぎの流れる社家を通り、賀茂川沿いのイタリアン「カフェ&レストランCAVA」を久しぶりに訪問。
大きな窓から見える木々はすっかり葉も落ちて裸の冬仕様になっています。これが春なら桜並木が望めるところですが、
川面と土手と山と雲がなだらかな縞模様を描く様をぼんやりと眺めるのも気持ちが落ち着きます。

メニューをあらためて見ると、野菜はオーガニックな八百屋「ワンドロップ」や上賀茂の「八隅農園」等から、魚は下鴨の「はっとり鮮魚」から、肉や酒も信頼を置く業者から仕入れているそうで、揚げ物のパン粉には吸収量の少ない大豆たんぱく粉末が配合されているとのこと。
ずっと長く地元の人達から愛されているお店は、やはり素材からこだわりが違うのでしょうね。

ちょうど付近の名物・上賀茂のすぐき漬けがテレビで紹介されていたこともあり、冬メニューの一つですぐきと菊菜と焼き穴子を合わせたパスタを選びました。
菊菜の緑やアルデンテの麺の間から、1㎝程にきざまれた乳白色のすぐき漬けが見え隠れしながらオイルと馴染んでいます。
いつもの食卓では醤油をひと垂らししてご飯と共に頂く事しかしていませんでしたが、すぐきのこんな使い方もあるのか、と小さく驚き、そのほのかな酸味と歯応えを噛み締めました。

2021年12月16日 | お店, グルメ | No Comments »

和食のようなイタリアン

12月8

h 緊急時代宣言が全面解除されてから、ぼちぼちと親戚や親しい人たちと、少人数で会食を楽しむ人もいるのではないでしょうか。

先日は、四条河原町から木屋町を下がってすぐのところにある「Vineria h(ヴィネリアアッシュ)」へ。両親は2度目の利用でした。
一階はカウンター席のみですが、小さな子供達が数人いたので二階のテーブル席を予約してほぼ貸し切りの状態だったので、他のお客に気兼ねなくイタリアンを楽しめました。

大人は6000円のコースを。幼い子供達はアラカルトを注文して、温かいスープや小ぶりで食べやすいピザを美味しそうに頬張り、満足そうでした。
どれも過度にならずに素材の味が引き立つ味付けで、じゃがいものスープに白子が入っていたり、カルパッチョに貝割れや茗荷らしきものが入っていたり、どこか和食を彷彿とさせるイタリアン。
年配の方も、ソムリエが提案するワインと共に楽しめるかもしれません。
数名の誕生日祝いも兼ねていたので、持参したケーキを上手くカットしてもらい、洗練された風情のお店ながらアットホームな会となりました。

壁一面の窓からは鴨川の景色が見え、夏には川床も出ます。

2021年12月08日 | お店, グルメ, 町家 | No Comments »

紅茶色に染まる嵐山

11月22

chava
嵐山での紅葉狩りは紅茶好きの友人と一緒だったので、「CHAVATY kyoto arashiyama」に立ち寄りました。
東京・表参道では1時間以上の行列となっているティーラテ専門店だそうですが、ランチタイムでもタイミング良く入店できました。
お店の内装も、紅茶の水色が綺麗に映えるガラス瓶も、ステンレスのソーサー等のカトラリーもセンスがよく、阪急嵐山駅や渡月橋にも近い中ノ島地区という絶好の立地なので、人気の程が伺えます。

まるで高級ホテルの朝食の様なランチプレートもに色鮮やかで美味しく、ガラスのティーカップの中で、光を受けて輝く透き通った紅黄色がこの茶葉の品質の良さを表していて、砂糖もミルクも加えず眺めていたくなりました。
しっとりとしたスコーンには、塩ホイップバターやハニーナッツ等の小瓶入りのコンフィチュールが4つも添えられ、自宅では味わえない欲張り感が満たされます。
ミルクティーが大好きなので、ボトル入りのティーラテも注文したかったのですが、さすがに満腹で次回のお楽しみとしました。

ひと昔前の嵐山といえば、芸能人グッズや和雑貨のお店ばかりでした。
必ずしも京都発という訳ではありませんが、最近は専門店化が進んでいるような気がします。

珈琲店に引き続き、京都にも紅茶専門店が増えていくのでしょうか。

京の底冷えに備えて

11月2

SILK DE KYOTO  
家の中では靴やブーツから解放され年中裸足でいたい自分でも、秋冬はさすがに足が冷えます。
とはいえ、靴下に足全体がすっぽり包まれると、時に暑くて脱いでしまうことも。そうなれば温活どころではありません。

たまたま和文化インフルエンサー・福満香織さんのインスタグラムを遡って見ていると、「SILK DE KYOTO」というブランドの靴下を発見。
早速ネット検索をして、レッグウォーマーが無いか探しました。
その昔、鍼灸師に「熱がこもりやすい人は、靴下よりレッグウォーマーの方が、余分な熱を放出してくれるからいい」と聞いていたからです。

「京都西陣の絹糸商が選んだつむぎシルク(絹紬糸)を使用」との謳い文句に俄然興味が湧きました。我ながら単純ですね。
外側はシルク100%、肌に触れる面はコットン100%ということは、化繊の肌着を着ると何だか落ち着かなくなる体質で綿ばかり選んできた自分にはうってつけです。
ふわふわとボリュームがあるものと、薄手でボトム下にも履けそうなものとを購入して現在愛用中です。
滑らかな肌触りがよく、鍋を食べて汗ばんだとき以外は布団の中でも暑くて脱ぐということはありませんでした。
かかとやふくらはぎは、つるつるとはまだいきませんが、いつもより保湿されている感覚はあるかな?

紅葉の美しい季節の到来は、「京の底冷え」の厳しさを足元から身をもって実感できることを意味します。
同じ敏感体質で、最近ふくらはぎの冷えに困っている父親にも「シルク肌着デビュー」としてプレゼントしようかな。

2021年11月02日 | お店, 和雑貨 | No Comments »

老舗と芸術家の共鳴

10月13

kagi  
敬愛する画家(絵師?)山口晃さんの個展「山口晃-ちこちこ小間ごと-」を目当てに「ZENBI -鍵善良房- KAGIZEN ART MUSEUM」へ。

初めて山口晃氏の作品を目にしたのは、東京で開業したばかりだった六本木ヒルズで販売されていたポストカードでした。
東京と江戸が入り混じる緻密な描写の近代建築が、まるで大和絵のように描かれており、しかも画材は日本画の岩絵の具でもなく油彩なのでした。
帰京してすぐ購入した画集には拡大して観られるようルーペまでついているほど。

ここ最近では親鸞や伊藤若冲、冷泉家など歴史上の人物の生涯を描く仕事が多いようですが、その字と絵の達筆さに見え隠れするユーモアもさることながら、その原画の小ささに思わず目を丸くし、腰を屈めて覗き込んでしまいました。
この展覧会では、撮影もSNSへの投稿も可能です。

菓子匠・鍵善良房といえば十二代当主と親交の深い、木漆工芸の人間国・黒田辰秋の作品を山口氏の感性で展示した一角もあります。
個人的に大好きな作品で鍵善良房の手提げ袋に採用されている『好きなカフェー』も立体作品になって朱漆の振り出しと並んでいました。
理屈抜きで楽しめて、老舗と芸術家とが共鳴し合う京都の奥深い一面を考えさせられる展覧会でした。

ミュージアムショップ「Zplus」では、山口氏のアイデアスケッチをもとに鍵善良房が誂えた特製和菓子も。
また一冊、我が家に画集が増えました。

和菓子で摘む秋の七草と日本茶のアフタヌーンティー

10月5

camellia  
去年の緊急事態宣言中、門を閉ざした龍安寺から南に延びる道を歩いていると、立派なお屋敷に足が止まりました。
その時は「茶道体験カメリアガーデン」という表札だけ頭に記憶。
それから一年が経ち、偶然友人からのお誘いで初めて訪問することに。

「秋の和菓子と日本茶を楽しむアフタヌーンティー」として、日本茶4種と淹れ方の講座にペアリングとして合う和菓子の数々(秋の七草にちなむ)に、お点前で頂くお薄と特製の和菓子という贅沢な趣向です。
ここ最近はホテル等で和のアフタヌーンティーを見かけるようになりましたが、和菓子に特化したものは珍しい。
まずは茶そばで虫養いしつつ、六角ちきりや茶舗亭主が複数の急須で同時にお茶を淹れる姿に見入ります。
まったりとした玉露にはナッツ入りのお菓子、また香ばしいほうじ茶には柑橘のお菓子が合ったり、貴重な碾茶は玉露風に時間を長めにして淹れて飲む、とかに日本茶の楽しみ方について新しい発見が幾つもありました。
昨年オープンした「菓子屋のなさん」には伝統的な主菓子と、老舗の老松さんには新しい発想の和菓子を誂えるなど、遊び心がユニークだけと奇抜さは無く、ボリュームもいい塩梅です。

最初は緊張して堅かったお客同士も、茶会の間の会話も撮影も自由だったせいか、互いの好きな画像を見せ合ったり、分からないことをスマートフォンで調べて共有したりしているうちに「一座建立」の極みに達していたような…。
それぞれマニアック気質な人が多かったので、茶会の後も外でも話が尽きませんでした。
今後の催しの詳細は、公式SNSをご覧くださいね。

茶を味わい尽くす家

9月28


kouro
  

お彼岸の頃、お墓参りを済ませて大徳寺を出た門前にある「皐盧庵茶舗」さんに立ち寄りました。
子連れでも可能か恐る恐る敷居をまたぎましたが、2つの茶室を含め部屋が5つもあるようで、他のお客さんが続いてもそれぞれ個室のようにすごせました。

やはりここは宇治茶カフェ。メニューにある各お茶の味の特徴がチャートにしてあって選びやすく、飲み比べメニューも豊富です。
既によく湧いていた鉄瓶のお湯で淹れてもらえるのが嬉しい。
目の前で玉露や煎茶などを、缶から茶葉をすくい出すところから見せてもらえるので、自分で淹れるときの参考になります。
お店の外にも床几があったので、秋晴れの日は外でお茶するのも気持いいでしょうね。

お膳の上に、畑作りからこだわったお茶と、干菓子と主菓子、そしてほうじ茶が香ばしいかき氷が同居する贅沢。
幼い子供達はお茶周りにハイエナのごとく食らいつくので、粗相しないよう抑えるのに必死でした。

帰り際に「月白風清」という禅語の色紙を拝見。
「やっぱり今度は一人でゆっくりお茶を味わいに来よう…。」と思うのでした。

2021年9月28日 | お店, グルメ, 町家 | No Comments »
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