e-kyoto「一言コラム」

ガイドブックには載っていない、スキマ情報をご紹介していきます。

羽を広げて風に乗ろう

10月12

cho
今年の夏より一般拝観を始めたお寺があります。
これまで何度となく本法寺の境内を歩きましたが、その一角にある尊陽院という塔頭には気づきませんでした。
訪れたきっかけは、SNSで流れて来た、アサギマダラを描いた鮮やかな天井画でした。

朽ちた空き寺だったところを手探りで再興、住職の妻も修行の末に尼僧となり、自身の辛い経験から水子供養を主とする祈りの場として生まれ変わったそうです。
このアマギマダラの天井画を制作したのはmais(マイス)という若き芸術家。音が色で見えるという共感覚を持っているそうです。
墨一色の龍の天井画とは対照的に、彼女の瞳を通すと、世界はこのように色鮮やかに見えたりするのでしょうか。

草花を描いた天井はよくありますが、こちらは蜜を吸いに来る側の蝶。
それも、ひらひらと可憐な、というよりも羽を大きく広げた力強い印象の方が優ります。
浅葱色の羽が美しいアサギマダラは、日本から海を渡り香港まで移動できる程の珍しい蝶でもあります。
アートは目にした人の数だけ解釈があると思いますが、自ら動いて幸せを取りに行くような、風に向かってしなやかに飛び立とうとする女性を象徴しているかのように思えました。

お寺の復興から天井画の完成に至る不思議な物語は、拝観時に教えて頂けますよ。

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