e-kyoto「一言コラム」

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秀吉晩年の一大事業「太閤堤」

5月26

taikou
古代からの埋蔵文化財が多いという宇治
宇治川右岸の土地区画整備事業に伴う発掘調査中に、偶然にも約400mにもわたる石積みの護岸が出土しました。
その石積みは城郭の技術にも似ており調査を進めると、晩年の豊臣秀吉が伏見城築城に伴い宇治川や淀川に築いた大規模な護岸遺跡「太閤堤(たいこうづつみ)」である事が判明、平成19年当時の現地説明会に1600人もの人が駆けつける大発見となりした。

太閤堤は、水位が低く広大な湿地だった巨椋池と宇治川を切り離し、新たに水路や陸路を設けて伏見を拠点とする水運を整えるのが狙いで、これまで前田利家ら錚々たる大名に築かせた槙島堤(向島~宇治)や小倉堤(向島~小倉)が知られていました。
平成21年には国史跡「宇治川太閤堤跡」として登録され、現在は観光施設「お茶と宇治のまち交流館 茶づな」と庭園の整備が進められています。

石出しや粘板岩を敷き詰め松杭を打つ等、同時の土木技術の粋を集めて築かれており、施設では出土した太閤堤の実物を地下に保存、その2m真上の地上に精巧なレプリカを展示しているそうです。
宇治茶を庇護した秀吉の一大事業により川筋が安定した事で、茶園に必要な下肥を京から宇治へ運び、また茶は京や大阪へと運ばれました。
太閤堤が築かれた事で砂洲の形成が促され、茶園の適地として現在も利用されていることから、太閤堤や宇治茶を紹介する設備と共に、当時の栽培方法で現地の人々に育てられた修景茶園が設けられ、茶摘み体験ができるよう計画されているそうです。

これまで殆ど跡が残されていなかった太閤堤ですが、そのお陰で発達した交通基盤の上を、現在はJRや京阪、近鉄などの鉄道が走っています。
間もなくオープン予定というものの、この情勢下で正式な日時は決まっていませんが、日本三古橋の一つである宇治橋たもとで京阪宇治駅そばという好立地もあって、宇治の新たな観光スポットとして今から注目しておきましょう。

2021年5月26日 | 歴史, 観光スポット

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