e-kyoto「一言コラム」

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日暮れと清水の舞台

3月24

kiyomizu
ある日の夕方、ふと思い立って新しくなった清水の舞台へ向かうことにしました。
傾いた陽が輝く鴨川沿いを自転車で走り、五条坂の途中からは息が切れて押しながら。
降りて来る僅かな観光客とすれ違いながら、その日の営業を終了したのか休業しているのか、静かな店舗群の間を登ります。

清水寺に到着したのは午後5時頃。ぽつりぽつりと、しかし途切れる事なく数グループが境内にいました。
2008年より始まった「平成大修理」の一環で、今年は舞台の板も張り替えられ、白木となった清水の舞台は、檜の香りが漂っていました。
爪楊枝程の大きさに見える京都タワーが暖かな茜色の空に溶け込み、澄んだ夜の冷気を吸い込みながら、1分ほど目を閉じて鳥の声や舞台を歩く人々の足音、音羽の瀧の音などに耳を傾けました。

奥の院や子安塔側にも回って、改めて舞台を外側から眺めます。
本堂の檜皮屋根も約50年ぶりに葺き替えられ、本堂を覆っていた素屋根もすっかり取り払われて「照り起(むく)り」と呼ばれるふっくらとした曲線美が再び甦りました。
屋根を葺く檜皮は通常より約20センチ長く、約170万枚を全国各地から10年かけて確保したそうです。
徳川家光による再建以来初めてと言われる金の破風の飾り金具も新たに修理され、間もなく全ての修理が終わります。

閉門後、夜の帳が降りて暗くひっそりとしたお店の並ぶ坂道を自転車で降りました。
清水寺から円山公園までの高低差は59メートルと言われています。
恐らく、これまでの清水寺の参道なら夜になっても国内外の観光客が賑やかに下山していて、自転車で滑るように降りていく事など不可能だったことでしょう。
こんな不思議な心地はもう無いかもしれない、と思いながら暗闇の参道を後にしました。

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