e-kyoto「一言コラム」

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ぼた餅の別名

3月21

bota お彼岸と言えば「ぼた餅(牡丹餅)」。秋には「おはぎ」(お萩)」と呼ばれる事も多いですね。
夏や冬の別称もある事をご存じでしょうか。
ぼた餅の餅は米粒を残す、つまり「搗かない」、転じて「つきが無い」。
月(つき)が見えないのは冬の北の窓だから「北窓(きたまど)」。
「搗かない」が「着かない」となって、夜は暗くていつ船が着いたか分からないから、夏は「夜船(よふね)」という言い回しがあるようです。
糯米と餡のみという素朴さで、春や秋に限らず名前を変えて年中街角で売られているほど人々から愛されているお菓子だと言えますね。
また、日本人はそのものすばりの名称を語らず、湾曲した表現を好むようです。
例えば、厚揚げ。
焼いて縞の様に焦げ目を付けた厚揚げを「虎」と呼び、「『雪』にしますか?それとも『竹』にしますか?」と相手に問う、というお江戸の例えを聞きました。
『雪』の様に真っ白な大根おろしを添えたものを「雪虎」、『竹』に見立てた青葱と一緒にしたものが「竹虎」と呼ぶそうです。
なんでも無いおかずが、なんとも雅やかな品に思えてしまう不思議。
物質的な貧しさを心の豊かさに代えてきた昔の日本人の工夫が、そこに現れています。

2017年3月21日 | グルメ

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