e-kyoto「一言コラム」

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カフェという発信装置

6月13

kaika 一軒カフェとは結びつかないような京都の老舗が、続々と喫茶サービスに乗り出しています。
その多くが京町家風で「和モダン」を打ち出すなか、日本で最も歴史の古い手作り茶筒の老舗「開化堂」がこのほど開店した「Kaikado Cafe」は、京都市電の車庫兼事務所だった場所を改装し、どちらかというとニューヨークの珈琲ショップのよう。
手を離しただけで上蓋が筒に吸い込まれるように密閉される、開化堂ならではの手作り珈琲缶も多数陳列され、キッチンには「金網つじ」と「中川木工芸」が試作したというドリッパーが目を引きます。
時間の経過を忘れるほどお喋りに夢中になっていたにも関わらず、口に運んだアイス珈琲の香ばしさや、チーズケーキの濃厚な舌触りがちゃんと印象に残っているところをみると、品数は限られていても、それぞれの素材を吟味してきちんと作られたものだけを出しているのでしょう。
大量生産はできないけれど、世代を越えて愛されるように、一つ一つの品を手作業で丁寧に仕上げていくお店の姿勢と共鳴するものがあります。
これまでの老舗や職人といえば、小さな工房の中で家族身内が肩寄せ合って黙々と作業をしているのが常で、外に開かれているのは体験教室や見学といった時くらいでした。
そんな状態では、もとから興味を持った人しか、その製品に関わる事はありません。
カフェという形は、現在最も多くの人が自然な形で伝統工芸品に触れられる装置なのだと言えます。

2016年6月13日 | お店, グルメ, 和雑貨

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