e-kyoto「一言コラム」

ガイドブックには載っていない、スキマ情報をご紹介していきます。

本野精吾設計「栗原邸(旧鶴巻邸)」

6月1

kurihara 31日まで一般公開されていた国登録有形文化財の「栗原邸」。
緑の木々にすっぽりと覆われた脇の小道を進むと、重厚な円柱を配した半円形の玄関ポーチが現れました。
「モダニズム建築」という言葉だけを聞くと、無機質な先入観を持ってしまいがちですが、外側はコンクリートそのものを、窓枠やインテリア等に幾何学的、直線的なデザインを多用しながらも、あちこちの窓から望める新緑や家具の木の穏やかさが、それらを包み込んで緩和しています。
ベッドに寝そべれば(実際にはできませんが)窓一面に見える青もみじ、手を伸ばせば木の枝もつかめるくらいに張り出したバルコニー、すぐそばを流れる琵琶湖疏水、手前に連なる瓦屋根と向こうに見渡せる山や町の遠景、それらの異なる景色を楽しむ為に設計されているのではないかと思わずにはいられません。
棚に残る食器や本など、ほんの5年程前まで住んでいたという形跡も感じられるためか、広く開放的な屋上なんて、テントを張って星空や虫の音と共に夜を明かせるのではないかと、想像が膨らんでしまいました。
この邸宅の主・鶴巻鶴一が校長を務めた京都高等工芸学校(現・京都工芸繊維大学)の学生らが修復に携わった栗原邸は、一般公開を一旦終了しましたが、本野精吾をテーマにした展示が京都市考古資料館で21日まで開催されており、7日と21日は資料館にある旧貴賓室が特別公開されます。

2015年6月01日 | 芸能・アート

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