木島櫻谷旧邸
3月17
京都の商家に生まれ、明治~昭和初期に京都画壇で活躍した日本画家・木島櫻谷(このしまおうこく)が晩年に暮らした住宅が、今月末までの週末に限り特別公開されています。
円山四条派の流れを汲み、主に動物を写生的に描く画風ですが、京都画壇で人気を二分したという竹内栖鳳の雄々しい虎・獅子図に比べると、櫻谷の獅子図は手並みも柔らかく、どこか人の顔を連想させるものでした。
邸内は住居としての和館と、作品展示や商談に使われた和洋折衷の洋館、80畳もの画室から成り、随所に櫻谷自身のこだわりが反映されています。
この時期ならではの雛人形や、櫻谷が孫のために図柄を手描きした花嫁衣装、絵の題材となった鹿が角を研いだという木が残されており、また、レトロな電話室を設けた画室には、櫻谷が邸内の庭園で家族と楽しく過ごす映像が映し出され、櫻谷が家族や自然の生き物を慈しんでいた空気がまだここに残っているかのようです。
芸術を生業とする人にとって、自分が生きている間に画業が評価され、家族や同志に囲まれて豊かに暮らせたのは、とても幸せな事だったろうな、と素直に思いました。