何を変え、何を残すか
2014年7月に世界で最も影響力のある旅行雑誌「トラベル・アンド・レジャー」において、「世界で最も行きたい都市、憧れの都市」として「ワールドベストシティランキング1位」に選出され、そして2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催に向けて、外国人観光客の更なる増加が見込まれる日本の古都・京都。
京都には、既存の観光地をより外国人観光客に利用しやすい様に整備する動きや、既にある観光資源を活かして新たな価値を創出する動きが出てきています。
例えば、旅行口コミサイト「トリップアドバイザー」による外国人観光客に人気の日本の観光スポットで2013年度の1位になった伏見稲荷大社では、駅から社へ多言語が行き交う道中に、いつの間にか手荷物預かり所(おそらく英語対応可?)ができていて、近くのカフェで寛いでいると、海外から京都に来た旅行者に、英語で道案内をするボランティア「あっちこっちプロジェクト」の一員だという人とも出会いました。
また、戦後まで琵琶湖疏水の大津市~京都市間を往来した通船を観光用に復活させるという構想がとうとう、2015年3月下旬から試験運航を実施する段階に入りました。
試験運航は京都市民や観光客から参加者を募って5月の大型連休頃まで行われ、採算性等を見極めた後で本格実施に入るそうです。
いずれも、先人達が京に残してきた遺産が確固たる地盤となっていて、そういう観光資源がコンパクトに集約された京都という街は、本当に恵まれた都市だと言えます。
「おもてなし」という言葉を聞くと、つい至れり尽くせりのサービスを提供することだと勘違いとしてしまいそうですが、これから大切なのは「何を改良し、何をそのまま残すか」。
そのさじ加減ではないでしょうか。その為には、日本人が自国についての理解を深める必要があると思います。