残暑のすごしかた
8月21
京都の日本家屋に住むチリ人の知人が、自宅での茶事に招いてくれました。
夕方、水打ちされた玄関から入ると、待合の床には染付のお皿に氷柱が置かれ、人数分のうちわが添えてありました。
浴衣の袖口からうちわを扇ぐと、風が胸元から襟首へと抜けていきます。
チリの料理やワインがお膳で出された後は、濃茶を頂きます。
なんと、ガラスの水指の中にも大きな氷の塊が!柄杓を差し込むと心地よい音を立てるのです。そのお水も、はるばる梨木神社から汲んできたもの。
薄茶席へ誘う合図は風鈴で。こちらは水で点てたお抹茶です。
すうっと、汗が引くようなさわやかさ。
エアコンの無い部屋なので汗は流れますが、障子を開放しているせいか体感温度は思ったより高くなく、かすかな夜風がとても冷たく感じられました。亭主のすすめで縁側に腰をかけると、夜空には白く涼しげに輝くお月さま。
一昔前の日本人なら、こういう涼の取り方をしていたのでしょう。
密閉され、キンキンに冷房のきいた空間で氷のたっぷり入った飲み物を飲むよりも、うっすらかいた汗が空気の動きで熱を取ってくれる方が、身体にも優しく、夏バテせずに済むような気がします(もちろん、やせ我慢は禁物ですが)。
チリから茶道を学びにやって来たその人に、教えられました。