山中油店
3月25
自転車で西陣を通り抜けるとき、わざとジグザクに進んで町並みの風情を楽しんでいます。そこには普段着のままの、暮らしが垣間見える京町家が静かに佇んでいるから。
醤油屋から分家した「山麹」の暖簾と水車、鯉が泳ぐ池が目印の「山中油店」は、創業した江戸後期には灯明用の菜種油を商い、現在では食用油の他にも美容用の油や、塗装用油を扱う専門店です。
化学溶剤を用いず昔ながらの圧搾法にこだわった紅殻(べんがら)や荏(え)油などの自然塗装油は、木材の呼吸を妨げず、手入れにも使用する事で美しい木目や艶、色味や香りを際立たせ、住宅のみならず祇園祭で登場する各山鉾の車輪などにも使われているとのこと。
また、シックハウス症候群を心配する人々からの需要も増えているといいます。
化学物質を一切使わず紅殻や荏油、柿渋を用いて改修した町家は、「町家ゲストハウス」や「ショップ&カフェ綾綺殿」で体験できます。なお、綾綺殿は4月1日より平日の夜も営業されるそうです。